p148 審判上の取り決め事項ならびに注意すべき規則

1.宣告の取り決め

  1.  ファウルライン付近を転がる打球は、一・三塁ベースまでは球審、一・三塁ベースを含む以遠のものは塁審が宣告する。ただし、塁に触れた打球は球審とし、外野方向への打球は塁審が宣告する。内野フライ、インフィールドフライおよび故意落球は原則として球審が宣告し、外野フライ、ファウルフライは捕球した野手に近い審判員が宣告する。なお、内野へのライナーに対しては、1番よく見える位置にいる審判員(オープン・グラブ・ポリシー)が原則として、キャッチまたはノーキャッチを判定する。

  2.  ファウルボールの宣告は、身体の向きは特に規制しないが、フェア地域の方を向いてはいけない。

  3.  投球が打者に触れたがヒット・バイ・ピッチとしない場合、両手を上げてボールデッドであることを示し、「ボール」または「ストライク」と宣告する。

  4.  スクイズプレイまたは本盗の場合、投手の投球を捕手が本塁上に出るか、あるいはバットまたは打者に触れてボークと打撃妨害の規則が適用される場合は、「タイム」を宣告後、「打撃妨害」を宣告して三塁走者等すべての走者の進塁を認め、続いて打者を一塁に進める。

  5.  打球、送球等に野手がグラブを投げて故意に触れさせるか、帽子・マスクその他着衣の一部を、本来着けている個所から離して故意に触れさせた場合
    1. フェアの打球に対しては「テイク・スリー」と宣告して3本の指で示す。
    2. 送球(投手板上からの送球も含む)に対しては「テイク・ツー」と宣告して2本の指で示す。
    3. 投球に対しては「テイク・ワン」と宣告して1本の指で示す。
【注】 いずれの場合もボールインプレイであり、走者の進塁の起点は、野手の投げたグラブ等が打球または送球に触れた瞬間である。

2. 本・一塁間に設けられてあるスリーフットレーン内を、打者走者が走っているかどうかは球審が見る。(ライン上はスリーフットレーン内に含まれる)

 したがって、一塁への守備が行われているとき、スリーフットレーン外を走り、守備を妨害した場合に、「ヒー・イズ・アウト」を宣告するのは球審である。

3.アピールプレイ

  1.  塁を空過するか飛球が捕えられたとき、リタッチを果たさず進塁した走者に対して、元の塁だけでなく進塁した塁上で触球してアピールすることも認められる。

  2.  ボールインプレイ中にアピールがあり、このアピールに対して、審判員が「タイム」を宣告して協議しなければならない場合は、ボールデッド中に協議結果を宣告する。

  3.  アピールプレイは、ボールインプレイのときに行わなければならないから、タイムを要求してアピールをしようとしたときは、審判員は「タイム」を宣告してはならない。しかし、審判員が「タイム」を宣告した場合には、ボールインプレイにしてから改めてアピールをさせることとする。

4.キャッチ(捕球)

 併殺プレイのとき、ピボットマンはすばやい送球動作を行うので、落球か否かの判定につい
ては、野手が捕球後、ボールがそのプレーヤーの「投げ手」に移り、送球動作に移ったことが明らかなときは「キャッチ」と判定される。
 しかし、投げ手に移されようとする状態とか、あるいは、投げ手に移ったばかりで、まだ送球動作に入っていないときは、「キャッチ」とはみなされない。

【注】

 「ピボットマン」とは、併殺の際、ボールを継送するプレーヤーである。たとえば遊撃手~二塁手~一塁手とわたる併殺ならば二塁手を指す。

5.ヒット・バイ・ピッチ(死球)の判定

 打者が投球を避けようとすることが条件である。(身体が打者席の捕手寄りでなく後方向に移動すること)しかし、投球がストライクゾーンで打者に触れた場合には、避けようとしたかどうかを問わずすべて「ストライク」である。

6.打球が再びバットに当たった場合

  1.  バッタースボックス内で当たったときはファウルボールである。

  2.  バッタースボックス外(フェア地域)で当たったときは、打者をアウトにする。ただし、バッタースボックス外で当たったときでも、打者の両足がまだバッタースボックス内に残っているときはファウルボールである。

    1.  フェア地域で、落としていったバットに打球が転がってきて当たったときは、ボールインプレイである。

    2.  投げたバットが打球に当たったときは、バッターはアウトになり、ボールデッドとなる。

    3.  折れたバットの先の部分が、打球に当たったときは、ボールインプレイである。

7.故意落球

 容易に捕球できるはずのフライまたはライナーを、内野手が片手または両手で現実に打球に
触れてから、併殺を企てるため故意に落としたものが故意落球であり、ボールデッドとなる。しかし、手またはグラブに触れないで落としたものは故意落球とはならず、ボールインプレイである。

8.ハーフスイングの判定

 球審が下したハーフスイングの判定には抗議はできないが、「ボール」と宣告したときだけ、
監督または捕手は、振ったか否かについて塁審にアドバイスを受けるよう、球審に要請することができる。
 なお、バントはスイングではないから、ハーフスイングについての要請は受けられない。ただし、捕手の陰で打者の行為が判然としないようなときは、球審は独自の判断で塁審にアドバイスを求めることができる。

9.走者が盗塁を企てたとき、捕手の送球動作を妨害した場合

  1.  打者の妨害
    • 打者はいかなる形であろうとも走者を助けようとする行為をしてはならない。

    1.  現実に捕手の送球動作が妨害されたときに限る。

    2.  打者をアウトとし、走者を元の塁に戻す。

    3.  妨害にもかかわらず捕手が送球できて、走者をアウトにしたときは打者はアウトにならず、妨害はなかったこととする。

    4.  妨害にもかかわらず送球することができて、走者をアウトにできるタイミングであっても、野手が落球して走者をアウトにすることができなかったときは、妨害として処置する。

    5.  捕手からの送球によってランダウンプレイが始まろうとしたら、審判員は直ちに「タイム」を宣告して、打者を妨害によるアウトにし、走者を元の塁に戻す。<6.06c-2015>【原注】<6.06c−2015>【注2】

  2.  球審の妨害(打球処理を除く、捕手のすべての送球動作)

    1.  捕手の送球で走者をアウトにしたときは妨害とはならない。なお、捕手からの送球によってランダウンプレイが始まろうとしたら、球審は直ちに「タイム」を宣告して走者を元の塁に戻す。(<5.09b−2015>付記注)

    2.  第3ストライクを捕手が捕球できなかったときの捕手の守備行為を妨害したときも、球審は直ちに「タイム」を宣告して打者をアウトにし、走者を元の塁に戻す<5.09b−2015>。なお、投手への返球行為を妨害したときも含まれる。

10.打者が反則打球をした場合

 打者が反則打球をした場合は、打者はアウトとなる。なお、走者がいる場合はボールデッドとなって投球当時に占有していた塁に戻す。(<6.06a−2015><5.09d−2015>)

11.ダブルプレイが故意の妨害により阻止された場合

  1.  走者による場合
    • 妨害した走者とともに打者もアウトにする。

    1.  ピボットマンの守備を故意に妨害したとき(<6.05m−2015><7.08b−2015>)

    2.  打球の進路を故意に変えたり、捕ったりして打球を妨げるか、打球を処理しようとしている野手の守備を故意に妨害したとき<7.09f−2015>

  2. 打者走者による場合
    •  どこで併殺が行われようとしていたかに関係なく、その打者走者と本塁に最も近い走者をアウトにする。<7.09g−2015>

  3. アウトになった打者または走者、あるいは得点したばかりの走者による場合
    •  併殺の対象となった走者をアウトにする。どの走者に対して守備が行われようとしていたか判断しにくいときは、本塁に最も近い走者をアウトにする。(<6.05m−2015><7.09e注−2015>)

12.同一塁上で二人の走者にタッグした場合

  1.  ボールインプレイのとき、二人の走者が同一塁に触れているときは、その塁の占有権は前位 の走者にある<7.03a−2015>。したがって、二人の走者にタッグしたときは後位の走者を指さして「ヒー・イズ・アウト」を宣告し取り除く。ただし、b項適用の場合を除く。

  2.  フォースの状態で進塁を余儀なくされた走者が元の塁に触れたままの場合は、その塁の占有権は後位の走者にあるから、二人の走者がその塁上にいてタッグされたときは前位の走者がアウトになる。<7.03b−2015>

13.走者が一塁におり、打者走者を先にアウトにした場合

 打者走者が先にアウトになれば、一塁走者は塁を明け渡す(進塁)義務は無くなるから、帰塁も進塁も自由である。このようなときには、審判員は特に一塁手が先に走者にタッグしたか、ベースに触れたかを確認することを怠ってはならない。先に一塁走者にタッグしてから、次に一塁ベースに触れれば二つのアウトが成立する。<7.08e−2015>

14.悪送球が場外に出た場合の進塁の基準

 悪送球が場外に出た瞬間にボールデッドとなるが、そのときの走者の位置が進塁の基準ではない。<7.05g−2015>
  1.  打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づく送球(ファーストスロー)が悪送球のときは、投手の投球当時の各走者の位置を基準として2個の塁が与えられる。(打者を含む各走者が1個の塁を進んだ後に送球したものを除く)<7.05g付記−2015>

  2.  その他の送球のときは、常にその悪送球が野手の手を離れたときの走者の位置を基準として、2個の塁が与えられる。ただし、フライが捕球された後に続く悪送球の場合に限って、投手の投球当時、その走者が占有していた塁を基準として2個の塁が与えられる。このとき、捕球より離塁の早かった走者は次の塁に達しなければ、ボールデッドの状態であってもリタッチを果たすことは許される。もし、リタッチを果たさないときは、プレイ再開後にアピールがあればアウトになる。(<7.05i原注2−2015><7.10b付記(2)−2015>注4)

15.正しい投球姿勢の徹底<8.01a、b−2015>

  1.  投手がセットポジションに入るとき、一塁へ左肩(右投げ)を大きく振って「偽投と見間違えられる極端なものに限定」それから向き直ってストレッチに入る入らないに関係なく、偽投と類似の動作をした場合。(ボークとなる)

  2.  二塁に走者がいるとき、投手が二塁に顔を強く振りながら「自由な脚および両手が伴いあまりにも不自然な投球動作」をした場合。(ボークとなる)

  3.  投手が投球する際に1度離れた両手を再び合わせたり、投げ手でグラブをたたいたりすることを禁止する。(注意指導)

  4.  セットポジションから投球する投手は、投球するまでに必ずボールを両手で保持したことを明らかにしなければならない。その保持に際しては身体の前面ならどこで保持してもよいが、打者あるいは走者の位置によってその保持する箇所を変えることは欺瞞行為にあたる。したがって、同一投手は、1試合を通して同じ位置でボールを保持しなければならない。(注意指導)

16.ホームスチールとピッチドボール(投球)の判定

 決してあわててはいけない。まず投球の判定を宣告し、次に本塁でのプレイを、「アウト」か「セーフ」のジェスチャー、コールで示す。それから、改めて記録員に、今の投球は「ストライク」か「ボール」であったかを通告する。

17.ランダウンプレイ中に野手の際どいタッグプレイがあり、実際にはタッグが無かったときは、審判員は「ノータッグ」と宣告し、セーフと同じジェスチャーで示す。(<7.08a−2015>関連)


18.タイムを宣告する時期

 プレーヤーは、投手がワインドアップを始めるかセットポジションをとったとき、プレイが始ま
ろうとしているとき、またはプレイが行なわれているときには「タイム」を要求できない。したがって、審判員はこのような要求があっても「タイム」を宣告してはならない。(<5.10h−2015><6.02b原注−2015>)
 しかし、プレーヤーは往々にして時期をわきまえず「タイム」を要求することがある。このようなとき、審判員はとっさに「タイム」をかけるべきか否かを判断して処置しなければならない。この判断と処置は審判員にとって極めて大切な審判技術の一つである。
 なお「タイム」が発効するのは、「タイム」が要求されたときでなく、審判員が「タイム」を宣告した瞬間からである。(<3.12−2150><5.10−2015>)

19.雨の中で試合を開始する場合、または、暗黒、降雨等で試合を中止する場合

 試合の開始、中止、再開については、当該審判員が大会本部と協議のうえ決定するよう取り決められている。なお、日没時は少し早めに打ち切るのがよい。もう1回できそうだと思えるときが打ち切り時である。