審判員に対する一般指示

 審判員は、競技場においては、プレーヤーと私語を交わすことなく、またコーチスボックスの中に入ったり、任務中のコーチに話しかけるようなことをしてはならない。
 制服は常に清潔に保ち、しかも正しく着用し、競技場においては、積極的に機敏な動作をとらなければならない。
 クラブ役職員に対しては常に礼儀を重んずる必要はあるが、クラブ事務所を訪ねたり、特にあるクラブの役職員と親しくするようなことは避けなければならない。
 審判員が競技場に入れば、ただその試合の代表者として試合を審判することだけに専念しなければならない。
 提訴試合にもなりかねないほどの悪い事態が起こった場合、その事態の解決を回避したという非難を受けるようなことがあってはならない。常に規則書を携行し、紛糾した問題を解決するにあたっては、たとえ10分間試合を停止することがあっても、よく規則書を調べ、その解決に万全を期して、その試合を提訴試合あるいは再試合にしないように努めなければならない。
 試合を停滞させてはならない。試合は、しばしば審判員の活気ある真剣な運びによって、より以上の効果をもたらすものである。
 審判員は、競技場における唯一の代表者であって、強い忍耐と、よりよい判断とを必要とするようなつらい立場におかれることがしばしば起こるが、悪い事態に対処するにあたっては、感情を棄てて自制することが、いちばん大切なことである。
 審判員は自己の決定について、誤りを犯しているのではないかと疑うようなことがあってはならないし、また、たとえ誤りを犯したとしても、埋め合わせをしようとしてはならない。すべて見たままに基づいて判定を下し、ホームチームとビジティングチームとに差別をつけるようなことがあってはならない。
 試合進行中はボールから目を離してはならない。走者が塁を踏んだかどうかを知ることも大切ではあるが、飛球の落ちた地点を見定めたり、送球の行方を最後まで見きわめることがより重要なことである。プレイの判定を下すにあたっては、早まることなく、正確を期さなければならず、野手がダブルプレイをなしとげるために送球する場合にも、あまり早く向きを変えてはいけない。アウトを宣告した後、一応落球の有無を確かめる必要がある。
 走りながら〝セーフ〟〝アウト〟の宣告の動作をすることなく、そのプレイが終わるのを待って、宣告を下さなければならない。
 各審判員は簡単な1組のサインを用意しておく必要がある。これによって、自己のエラーを悟れば、その明らかに間違った決定を正すことができる。〝プレイを正しく見た〟という確信があれば、〝他の審判員に聞け〟というプレーヤーの要求に従う必要はない。確信がなければ、同僚の1人に聞くこともよいが、これもあまり度を超すようなことなく、機敏にプレイを十分に把握して審判しなければならない。しかしながら、正しい判定を下すことが第1の要諦であることを忘れてはならない。疑念のあるときは、ちゅうちょせず同僚と協議しなければならない。審判員が威厳を保つことはもちろん大切であるが、〝正確である〟ということがより重要なことである。
審判員にとって最も大切な掟は、〝あらゆるプレイについて最もよい位置をとれ〟ということである。
 たとえ判定が完璧であっても、審判員の位置が、そのプレイをはっきりと明確に見ることができる地点でなかったとプレーヤーが感じたときは、しばしば、その判定に異議を唱えるものである。
 最後に、審判員は礼儀を重んじ、しかも公平にして厳格でなければならない。そうすれば、すべての人々から尊敬される。