5.06 走者(b)進塁

(b)進塁

(1)順に各塁に触れる

<7.02-2015>

 走者は進塁するに当たり、一塁、二塁、三塁、本塁の順序に従って、各塁に触れなければならない。逆走しなければならないときも、5.06cの各項規定のボールデッドとなっていない限り、すべての塁を逆の順序で、再度触れて行かなければならない。前記のボールデッドの際は、途中の塁を踏まないで、直接元の塁へ帰ることは差し支えない。

【注1】安全進塁権が認められていても順に各塁に触れる

 ボールインプレイ中に起きた行為(例えば悪送球、ホームランまたは柵外に出たフェアヒットなど)の結果、安全進塁権が認められたときでも、走者が、進塁または逆走するに当たっては、各塁を正規に触れなければならない。

【注2】〝逆走しなければならないとき〟というのは、

  • ①フライが飛んでいるうちに次塁へ進んだ走者が、捕球されたのを見て帰塁しようとする場合(5.09b5:走者アウト〜帰塁違反の項参照)
  • ②塁を空過した走者が、その塁を踏み直す場合(5.09c2:アピールアウトの項参照)
  • ③自分より前位の走者に先んじる恐れがある場合(5.09b9:走者アウト〜追い抜きの項参照)
を指すものであって、このようなときでも、逆の順序で各塁に触れなければならない。

(2)打者が走者となった場合の塁の占有権

<7.03b-2015>

 打者が走者となったために進塁の義務が生じ、二人の走者が後位のランナーが進むべき塁に触れている場合には、その塁を占有する権利は後位の走者に与えられているので、前位のランナーは触球されるか、野手がボールを保持してそのランナーが進むべき塁に触れればアウトになる。(5.09b6:走者アウト〜フォースアウトの項参照)

(3)打者を除く走者の一個の安全進塁権

<7.04-2015>

 次の場合、打者を除く各走者は、アウトにされるおそれれなく1個の塁が与えられる。

(A)ボークが宣告された場合。

(B)打者が次の理由で走者となって一塁に進むために、その走者が塁を明け渡さなければならなくなった場合。

  • ①打者がアウトにされるおそれなく、一塁に進むことが許された場合。
  • ②打者の打ったフェアボールが、野手(投手を含む)に触れる前か、または野手(投手を除く)を通過する前に、フェア地域で審判員もしくは他の走者に触れた場合。
  • 【原注】 安全進塁権以上の進塁

     安全進塁権を得た走者が、与えられた塁に触れた後さらに進塁することは差し支えないが、その行為の責任はその走者自身が負うだけで、たとえ与えられた塁に触れた後にアウトになった場合でも、他の走者の安全進塁権に影響を及ぼすことはない。
     したがって、2アウト後その走者が与えられた塁に触れた後にアウトになり、第3アウトが成立しても安全進塁権がある前位の走者は、そのアウトの後で本塁を踏んでも得点として認められる。
    例ーー2アウト満塁、打者四球、二塁走者が勢い込んで、三塁を回って本塁の方へ向かってきたが、捕手からの送球で触球アウトになった。たとえ2アウト後であっても四球と同時に三塁走者が本塁に押し出されたので、すべての走者に次塁へ進んで触れる必要が生まれたという理論に基づいて得点が記録される。

    【注】

     本項【原注】は、打者が四球を得たために、塁上の各走者に次塁への安全進塁権が与えられた場合だけに適用される。

    (C)野手が飛球を捕球後にダッグアウトに倒れ込んだ場合

     野手が飛球を捕らえた後、ベンチまたはスタンド内に倒れ込んだり、ロープを越えて観衆内(観衆が競技場内まで入っているとき)に倒れ込んだ場合。

    【原注】

     野手が正規の捕球をした後、スタンド、観衆、ダッグアウト、またはその他ボールデッドの箇所に倒れ込んだり、あるいは捕球した後ダッグアウトの中で倒れた場合、ボールデッドとなり、各走者は野手が倒れ込んだときの占有塁から1個の進塁が許される。

    (D)走塁を企てた時の打撃妨害

     走者が盗塁を企てたとき、打者が捕手またはその他の野手に妨害(インターフェア)された場合。

    【注】 走塁を企てていない時の打撃妨害では安全進塁権は無い

     本項は盗塁を企てた塁に走者がいない場合とか、進もうとした塁に走者がいても、その走者も共に盗塁を企てていたために次塁への進塁が許される場合だけに適用される。しかし、進もうとした塁に走者があり、しかもその走者が盗塁を企てていない場合には、たとえ盗塁行為があってもその走者の進塁は許されない。また単に塁を離れていた程度では本項は適用されない。

    (E)野手が投球にグラブ等をぶつける

     野手が帽子、マスク、その他着衣の一部を本来つけている箇所から離して、投球に故意に触れさせた場合。
     この際はボールインプレイで、ボールに触れたときの走者の位置を基準に塁が与えられる。

    【5.06b3付記】

      ボールインプレイのもとで1個の塁に対する安全進塁権を得た走者が、その塁を踏まないで次塁へ進もうとした場合、および2個以上の塁に対する安全進塁権を得た走者が、与えられた最終塁に達した後はボールインプレイになる規則のもとで、その塁を踏まないで次塁へ進もうとした場合は、いずれもその走者は安全進塁権を失ってアウトにされる恐れがある状態におかれる。したがって、その進むことが許された塁を踏み損ねた走者は、その空過した塁に帰る前に、野手によってその身体またはその塁に触球されれば、アウトとなる。

    【注】

     例えば、打者が右中間を抜こうとするような安打を打ったとき、右翼手が止めようとしてこれにグラブを投げつけて当てたが、ボールは外野のフェンスまで転じ去った。打者は三塁を空過して本塁へ進もうとしたが、途中で気がついて三塁へ踏み直しに帰ろうとした。この際、打者はもはや三塁へ安全に帰ることは許されないから、その打者が三塁に帰る前に、野手が打者または三塁に触球してアピールすれば、打者はアウトになる。(5.06b4C:打者、走者の安全進塁権の項参照)

    (4) 打者、走者の安全進塁権

    <7.05-2015>

     次の場合、各走者(打者走者を含む)は、アウトにされる恐れなく進塁することができる。

    (A)本塁が与えられ得点が記録される場合

    フェアボールがインフライトの状態でプレイングフィールドの外へ出て、しかも、各走者が正規に各塁に触れた場合。またフェアボールがインフライトの状態で、明らかにプレイングフィールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、野手がグラブ、帽子、その他ユニフォームの一部を投げつけて、その進路を変えた場合。

    【注1】 動物に触れた場合

     フェアの打球がインフライトの状態で、明らかにプレイングフィールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、観衆や鳥などに触れた場合には、本塁が与えられる。
     送球またはインフライトの打球が、鳥に触れた場合は、ボールインプレイでありインフライトの状態は続く。しかし、プレイングフィールド上(地上)の鳥または動物に触れた場合は、ボールインプレイであるが、インフライトの状態でなくなる。また、投球が鳥に触れた場合は、ボールデッドとしてカウントしない。犬などがフェアの打球、送球または投球をくわえたりした場合には、ボールデッドとして審判員の判断によって処理する。

    【注2】 本塁打球にグラブ等を投げつけて落としても本塁打

    〝その進路を変えた場合〟とあるが、インフライトの状態で、明らかにプレイングフィールドの外へ出たであろうと審判員は判断したフェアの打球が、野手の投げつけたグラブなどに触れて、グラウンド内に落ちたときでも、本項が適用される。

    (B)3個の塁が与えられる場合

     野手が、帽子、マスクその他ユニフォームの一部を、本来つけている箇所から離して、フェアボールに故意に触れさせた場合。
     この際はボールインプレイであるから、打者はアウトを賭して本塁に進んでもよい。

    (C)3個の塁が与えられる場合

     野手が、グラブを故意に投げて、フェアボールに触れさせた場合。
     この際はボールインプレイであるから、打者はアウトを賭して本塁に進んでもよい。

    【注】

    ここにいうフェアボールとは、野手がすでに触れていたかどうかを問わない。

    (D)2個の塁が与えられる場合

     野手が、帽子、マスクその他ユニフォームの一部を、本来つけている箇所から離して、送球に故意に触れさせた場合。
     この際はボールインプレイである。

    (E)2個の塁が与えられる場合

     野手が、グラブを故意に投げて、送球に触れさせた場合。
     この際はボールインプレイである。

    【bcde原注】 ボールに触れなければ、このペナルティは適応されない。

     投げたグラブ、本来の位置から外した帽子、マスクその他がボールに触れなければ、このペナルティは適応されない。

    【ce原注】

     このペナルティは打球または送球の勢いにおされて、野手の手からグラブが脱げたとき、あるいは正しく捕らえようと明らかに努力したにもかかわらず、野手の手からグラブが脱げた場合などには、適用させない。

    【bcde原注】

     野手により、本項の行為がなされた場合の進塁の起点は、野手が投げたグラブ、本来の位置から離した帽子、マスクその他が打球または送球に触れた瞬間とする。

    (F)2個の塁が与えられる場合

    フェアの打球が、
    1. バウンドしてスタンドに入るか、または野手に触れて進路が変わって、一塁または三塁のファウル線外にあるスタンドに入った場合。
    2. 競技場のフェンス、スコアボード、灌木、またはフェンスのつる草を抜けるか、その下をくぐるか、挟まって止まった場合。

    (G)2個の塁が与えられる場合

    送球が、
    1. 競技場内に観衆があふれ出ていないときに、スタンドまたはベンチに入った場合。(ベンチの場合は、リバウンドして競技場に戻ったかどうかを問わない)
    2. 競技場のフェンスを越えるか、くぐるか、抜けた場合。
    3. バックストップの上部のつぎ目から、上方に斜めに張ってある金網に上がった場合。
    4. 観衆を保護している金網の目に挟まって止まった場合。
     この際は、ボールデッドとなる。
    審判員は2個の進塁を許すに当たって、次の定めに従う。すなわち、打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づく悪送球であった場合は、投手の投球当時の各走者の位置、その他の場合は、悪送球が野手の手を離れたときの各走者の位置を基準として定める。

    【規則説明】

     悪送球が打球処理直後の内野手の最初のプレイに基づくものであっても、打者を含む各走者が少なくとも1個の塁を進んでいた場合には、その悪送球が内野手の手を離れたときの各走者の位置を基準として定める。

    【原注】

     ときによっては走者に2個の塁が与えられないこともある。例えば、走者1塁のとき打者が浅いライトフライを打った。走者は1、2塁間で立ち止まっており、打者は1塁を過ぎて走者の後ろまできた。打球は捕らえられず外野手は1塁に送球したが送球はスタンドに入った。すべてボールデッドとなったときは、走者は進む権利を与えられた塁以上には進塁できないから、1塁走者は3塁へ、打者は2塁まで進む。

    【規則説明】

     〝悪送球がなされたとき〟という術語は、その送球が実際に野手の手を離れたときのことであって、地面にバウンドした送球がこれを捕ろうとした野手を通過したときとか、スタンドの中へ飛び込んでプレイから外れたときのことではない。
     内野手による送球がスタンドまたはダッグアウトに入ったが、打者が走者となっていない(3塁走者が捕逸または暴投を利して得点しようとしたときに、アウトにしようとしたキャッチャーの送球がスタンドに入った場合など)ような場合は、その悪送球がなされたときの走者の位置を基準として2個の進塁が許される。(5.06b4Gの適用に際してはキャッチャーは内野手とみなされる)
    例:走者一塁、打者が遊ゴロを打った。遊撃手は、二塁でフォースアウトしようとして送球したが間に合わなかった。二塁手は打者が一塁を通り過ぎてから1塁手に悪送球した。 →二塁に達していた走者は得点となる。(このようなプレイで、送球がなされたとき、打者走者が一塁に達していなかったときは、打者走者は二塁が許される。)

    (H)1個の塁が与えられる場合

     打者に対する投手の投球、または投手板上から走者をアウトにしようと試みた送球が、スタンドまたはベンチに入った場合、競技場のフェンスまたはバックストップを越えるか、抜けた場合。
     この際は、ボールデッドとなる。

    【規則説明】

     投手の投球が捕手を通過した後(キャッチャーが触れたかどうかを問わない)さらに捕手またはその他の野手に触れて、ベンチまたはスタンドなど、ボールデッドになると規定された箇所に入った場合、及び投手が投手板上から走者をアウトにしようと試みた送球が、その塁を守る野手を通過した後(その野手が触れたかどうかを問わない)さらに野手に触れて、前記の箇所に入ってボールデッドになった場合、いずれも、投手の投球当時の各走者の位置を基準として、各走者に2個の塁を与える。

    (I)1個の塁が与えられる場合

     四球目、三振目の投球が、球審か捕手のマスクまたは用具に挟まって止まった場合、1個の塁が与えられる。
     ただし、打者の四球目、三振目の投球が(H)及び(I)の状態になっても、打者には1塁が与えられるにすぎない。

    【原注1】

     走者がアウトにされることなく1個またはそれ以上の塁が与えられたときでも、与えられた塁またはその塁に至るまでの途中の塁に触れる義務を負うものである。
    例:打者が内野にゴロを打ち、内野手の悪送球がスタンドに飛び込んだ。打者走者は一塁を踏まないで二塁に進んだ。打者走者は二塁を許されたわけだが、ボールインプレイになった後、一塁でアピールされればアウトになる。

    【原注2】

     飛球が捕らえられたので元の塁に帰らなければならない走者は、グランドルールやその他の規則によって、余分の塁が与えられたときでも投手の投球当時の占有塁のリタッチを果たさなければならない。この際、ボールデッド中にリタッチを果たしても良い。また与えられる塁はリタッチを果たさなければならない塁が基準となる。

    【注】

     打者の四球目または三振目の投手の投球が、(H)項【規則説明】の状態になったときは、打者にも2塁が与えられる。